「憚る」は「はばかる」と読み、「遠慮する」「ためらう」「恐れ多い」という意味です。ビジネスシーンでは謙遜や遠慮の表現として使われます。
読み方を間違えやすく、また意味も複数あるため、正しい理解が必要な言葉です。
よくある間違い例と正しい読み方
読み方
「憚る」の正しい読み方:
正しい読み方:
- 「はばかる」(○)
間違った読み方:
- 「たかる」(×)
- 「はかる」(×)
主な意味
「憚る」には複数の意味があります:
- 遠慮する、控える
- ためらう
- 恐れ多い、畏れ多い
- 幅を利かせる(「憚りながら」の形で使用)
ビジネスシーンでの使い方
謙遜の表現
「憚りながら」の使い方:
- 「憚りながら、私の意見を述べさせていただきます」(○)
- 「憚りながら申し上げますが、この案には問題があります」(○)
意味:恐れ多いですが、失礼ながら
遠慮の表現
「憚られる」の使い方:
- 「このような場で発言するのは憚られます」(○)
- 「個人的な事情で恐縮ですが、今回は参加を憚らせていただきます」(○)
意味:遠慮される、控えるべきだ
否定的な表現
「憚ることなく」の使い方:
- 「意見を憚ることなく述べてください」(○)
- 「憚ることなく質問してください」(○)
意味:遠慮せずに、ためらわずに
「憚りながら」の使い方
意見を述べる際の前置き
ビジネスで最もよく使われる形です:
使用例:
- 「憚りながら、一つ提案がございます」
- 「憚りながら申し上げますが、期限の延長は難しいかと存じます」
注意点
「憚りながら」はやや古風で格式ばった表現です:
- フォーマルな場面で使用
- 年配の方や目上の人に対して使う
- 若い世代には堅苦しく聞こえる可能性
類似の表現との違い
「憚りながら」と「僭越ながら」
ニュアンスが異なります:
- 憚りながら: 恐れ多いですが(謙遜)
- 僭越ながら: 身の程知らずですが(より強い謙遜)
「憚られる」と「遠慮する」
意味は似ていますが、格式が異なります:
- 憚られる: やや古風で格式ばった表現
- 遠慮する: 現代的で一般的な表現
より現代的な言い換え
「憚りながら」の言い換え
状況に応じて、以下の表現も使えます:
現代的な表現:
- 「恐れ入りますが」
- 「差し出がましいようですが」
- 「失礼ながら」
- 「僭越ながら」
「憚られる」の言い換え
現代的な表現:
- 「遠慮される」
- 「控えさせていただく」
- 「避けるべきだ」
よくある質問
Q. 「憚りながら」は目上の人に使えますか?
A. はい、目上の人に対して使う謙遜の表現です。ただし、やや古風なので、相手によっては「恐れ入りますが」の方が自然です。
Q. 「憚る」の反対語は何ですか?
A. 文脈によって異なります:
- 遠慮する ⇔ 図々しくする
- ためらう ⇔ 躊躇しない
Q. ビジネスメールで使っても良いですか?
A. 使えますが、やや古風な表現なので、相手や状況に応じて判断しましょう。フォーマルな場面では適切です。
Q. 「憚る」を使わない方が良い場面は?
A. 以下の場合は別の表現を検討しましょう:
- 若い世代とのカジュアルなコミュニケーション
- 現代的でフレンドリーな雰囲気を出したい場合
- 社内の親しい同僚とのやり取り
Q. 「憚られる」は受け身形ですか?
A. はい、「憚る」の受身・可能・自発の形です。「遠慮される」「控えるべきだ」という意味になります。
Q. 英語ではどう表現しますか?
A. 文脈によって異なります:
- "with all due respect"(恐れ入りますが)
- "if I may say so"(僭越ながら)
- "hesitate to"(遠慮する、ためらう)
- "refrain from"(控える)
まとめ
- 「憚る」は「はばかる」と読み、「遠慮する」「ためらう」「恐れ多い」という意味
- 「憚りながら」= 恐れ多いですが(謙遜の前置き)
- 「憚られる」= 遠慮される、控えるべきだ
- 「憚ることなく」= 遠慮せずに、ためらわずに
- やや古風で格式ばった表現
- ビジネスでは目上の人に対する謙遜表現として使用
- 現代的な言い換えは「恐れ入りますが」「失礼ながら」
- フォーマルな場面では適切だが、カジュアルな場面では堅苦しい
この記事をシェア