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「憚る」の読み方と意味は?ビジネスで使われる表現の正しい理解

「憚る」は「はばかる」と読み、「遠慮する」「ためらう」「恐れ多い」という意味です。ビジネスシーンでは謙遜や遠慮の表現として使われます。

読み方を間違えやすく、また意味も複数あるため、正しい理解が必要な言葉です。

よくある間違い例と正しい読み方

読み方

「憚る」の正しい読み方:

正しい読み方:

  • 「はばかる」(○)

間違った読み方:

  • 「たかる」(×)
  • 「はかる」(×)

主な意味

「憚る」には複数の意味があります:

  1. 遠慮する、控える
  2. ためらう
  3. 恐れ多い、畏れ多い
  4. 幅を利かせる(「憚りながら」の形で使用)

ビジネスシーンでの使い方

謙遜の表現

「憚りながら」の使い方:

  • 「憚りながら、私の意見を述べさせていただきます」(○)
  • 「憚りながら申し上げますが、この案には問題があります」(○)

意味:恐れ多いですが、失礼ながら

遠慮の表現

「憚られる」の使い方:

  • 「このような場で発言するのは憚られます」(○)
  • 「個人的な事情で恐縮ですが、今回は参加を憚らせていただきます」(○)

意味:遠慮される、控えるべきだ

否定的な表現

「憚ることなく」の使い方:

  • 「意見を憚ることなく述べてください」(○)
  • 「憚ることなく質問してください」(○)

意味:遠慮せずに、ためらわずに

「憚りながら」の使い方

意見を述べる際の前置き

ビジネスで最もよく使われる形です:

使用例:

  • 「憚りながら、一つ提案がございます」
  • 「憚りながら申し上げますが、期限の延長は難しいかと存じます」

注意点

「憚りながら」はやや古風で格式ばった表現です:

  • フォーマルな場面で使用
  • 年配の方や目上の人に対して使う
  • 若い世代には堅苦しく聞こえる可能性

類似の表現との違い

「憚りながら」と「僭越ながら」

ニュアンスが異なります:

  • 憚りながら: 恐れ多いですが(謙遜)
  • 僭越ながら: 身の程知らずですが(より強い謙遜)

「憚られる」と「遠慮する」

意味は似ていますが、格式が異なります:

  • 憚られる: やや古風で格式ばった表現
  • 遠慮する: 現代的で一般的な表現

より現代的な言い換え

「憚りながら」の言い換え

状況に応じて、以下の表現も使えます:

現代的な表現:

  • 「恐れ入りますが」
  • 「差し出がましいようですが」
  • 「失礼ながら」
  • 「僭越ながら」

「憚られる」の言い換え

現代的な表現:

  • 「遠慮される」
  • 「控えさせていただく」
  • 「避けるべきだ」

よくある質問

Q. 「憚りながら」は目上の人に使えますか?

A. はい、目上の人に対して使う謙遜の表現です。ただし、やや古風なので、相手によっては「恐れ入りますが」の方が自然です。

Q. 「憚る」の反対語は何ですか?

A. 文脈によって異なります:

  • 遠慮する ⇔ 図々しくする
  • ためらう ⇔ 躊躇しない

Q. ビジネスメールで使っても良いですか?

A. 使えますが、やや古風な表現なので、相手や状況に応じて判断しましょう。フォーマルな場面では適切です。

Q. 「憚る」を使わない方が良い場面は?

A. 以下の場合は別の表現を検討しましょう:

  • 若い世代とのカジュアルなコミュニケーション
  • 現代的でフレンドリーな雰囲気を出したい場合
  • 社内の親しい同僚とのやり取り

Q. 「憚られる」は受け身形ですか?

A. はい、「憚る」の受身・可能・自発の形です。「遠慮される」「控えるべきだ」という意味になります。

Q. 英語ではどう表現しますか?

A. 文脈によって異なります:

  • "with all due respect"(恐れ入りますが)
  • "if I may say so"(僭越ながら)
  • "hesitate to"(遠慮する、ためらう)
  • "refrain from"(控える)

まとめ

  • 「憚る」は「はばかる」と読み、「遠慮する」「ためらう」「恐れ多い」という意味
  • 「憚りながら」= 恐れ多いですが(謙遜の前置き)
  • 「憚られる」= 遠慮される、控えるべきだ
  • 「憚ることなく」= 遠慮せずに、ためらわずに
  • やや古風で格式ばった表現
  • ビジネスでは目上の人に対する謙遜表現として使用
  • 現代的な言い換えは「恐れ入りますが」「失礼ながら」
  • フォーマルな場面では適切だが、カジュアルな場面では堅苦しい

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