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「折衝」の読み方と意味は?ビジネスで使われる交渉用語

「折衝」は「せっしょう」と読み、「利害の対立する相手と交渉し、妥協点を見出すこと」を意味します。単なる「交渉」よりも、対立や駆け引きのニュアンスが強い言葉です。

ビジネスシーンでは、取引先との交渉や社内調整で頻繁に使われる重要な用語です。

よくある間違い例と正しい読み方

読み方

「折衝」の正しい読み方:

正しい読み方:

  • 「せっしょう」(○)

間違った読み方:

  • 「おりしょう」(×)
  • 「せつしょう」(×)
  • 「おるしょう」(×)

意味と使い方

「折衝」は利害が対立する相手と交渉し、妥協点を見出すことを意味します:

使用例:

  • 「取引条件について、先方と折衝する」(○)
  • 「価格交渉の折衝を担当する」(○)
  • 「各部署との折衝を重ねる」(○)

「交渉」との違い

「折衝」と「交渉」のニュアンス

意味は似ていますが、ニュアンスが異なります:

  • 折衝: 利害が対立する中での交渉(やや困難)
  • 交渉: 一般的な話し合い(中立的)

使い分けの例

「折衝」が適切:

  • 「厳しい価格交渉の折衝を行う」
  • 「利害が対立する部署間で折衝する」

「交渉」が適切:

  • 「新規取引について交渉する」
  • 「契約条件を交渉する」

漢字の意味から理解する

「折」の意味

「折」という漢字:

  • 音読み: せつ
  • 意味: 折る、曲げる、妥協する

「衝」の意味

「衝」という漢字:

  • 音読み: しょう
  • 意味: 突く、ぶつかる、衝突

「折衝」の成り立ち

「折(妥協する)」+「衝(ぶつかる)」 = 対立しながら妥協点を探る

ビジネスシーンでの使用例

取引先との交渉

「価格面での折衝が難航しておりますが、来週中には妥協点を見出したいと考えております」

社内調整

「新プロジェクトの予算について、財務部と折衝中です」

契約交渉

「契約条件の折衝に時間がかかっているため、締結は来月になる見込みです」

「折衝力」という表現

ビジネススキルとしての評価

「折衝」は、「折衝力」としてビジネススキルの一つとされます:

使用例:

  • 「優れた折衝力を持つ人材」
  • 「折衝力を身につける」
  • 「折衝力が求められる業務」

履歴書・職務経歴書での表現

記載例:

  • 「顧客との折衝経験が豊富」
  • 「社内外との折衝業務を担当」
  • 「折衝力を活かした営業活動」

類似の用語との違い

「折衝」と「調整」

意味合いが異なります:

  • 折衝: 利害対立の中での交渉
  • 調整: 予定や意見を合わせること(対立は必須ではない)

「折衝」と「駆け引き」

ニュアンスが異なります:

  • 折衝: ビジネス的な交渉(フォーマル)
  • 駆け引き: 戦略的なやり取り(やや口語的)

「折衝」と「折り合い」

意味が異なります:

  • 折衝: 交渉すること(行為)
  • 折り合い: 妥協点、合意点(結果)

よくある質問

Q. 「折衝」は必ず対立がある場合に使いますか?

A. はい、基本的には利害や意見の対立がある状況で使われます。単なる情報交換や相談には使いません。

Q. 社内でも「折衝」という言葉を使えますか?

A. はい、部署間や上下間での利害調整にも使えます。「部署間の折衝」「上層部との折衝」などと使います。

Q. 「折衝する」という動詞の使い方は正しいですか?

A. はい、正しい表現です。「折衝を行う」「折衝する」どちらも使えます。

Q. ビジネス文書で使っても良いですか?

A. はい、ビジネス文書で標準的に使われる用語です。報告書、メール、提案書などで適切に使用できます。

Q. 「折衝」の対義語は何ですか?

A. 明確な対義語はありませんが、以下が対照的な概念です:

  • 合意(折衝の結果)
  • 一方的な通告(交渉がない)

Q. 英語ではどう表現しますか?

A. いくつかの表現があります:

  • "negotiation"(交渉)
  • "bargaining"(駆け引き)
  • "mediation"(調停)
  • "negotiating skills"(折衝力)

Q. 「折衝」を使わない方が良い場面は?

A. 以下の場合は別の表現を検討しましょう:

  • 対立がない単純な相談(「相談」「打ち合わせ」)
  • カジュアルなコミュニケーション(「話し合い」)
  • 一方的な説明(「説明」「報告」)

まとめ

  • 「折衝」は「せっしょう」と読み、「利害が対立する相手と交渉し、妥協点を見出すこと」という意味
  • 「おりしょう」「せつしょう」は誤った読み方
  • 「交渉」よりも対立や困難のニュアンスが強い
  • ビジネスでは取引先との交渉や社内調整で使用
  • 「折衝力」はビジネススキルの一つとして評価される
  • 「調整」は対立が必須ではない、「折り合い」は妥協点を指す
  • ビジネス文書や履歴書で標準的に使われる
  • 対立がある状況で使い、単なる相談には使わない

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