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「肝煎り」の読み方と意味は?ビジネスで使われる重要表現

「肝煎り」は「きもいり」と読み、「世話をする人」「仲介役」「主導で行う」という意味です。「かんせん」や「かんいり」ではありません。

ビジネスシーンでは、プロジェクトの推進者や仲介役を表現する際に使われる言葉です。

よくある間違い例と正しい読み方

読み方

「肝煎り」の正しい読み方:

正しい読み方:

  • 「きもいり」(○)

間違った読み方:

  • 「かんせん」(×)
  • 「かんいり」(×)
  • 「きもせん」(×)

意味と使い方

「肝煎り」には主に2つの意味があります:

1. 世話役、仲介役:

  • 「この取引は田中部長の肝煎りで実現した」(○)
  • 「社長の肝煎りで新部署が設立された」(○)

2. 主導で行う、音頭を取る:

  • 「肝煎りプロジェクト」(○)= トップ主導のプロジェクト
  • 「社長肝煎りの施策」(○)= 社長が主導する施策

語源と由来

江戸時代の役職

「肝煎り」は江戸時代の村役人の名称でした:

  • 村の世話役
  • 農民の取りまとめ役
  • 年貢の徴収責任者

そこから、「世話をする人」「取りまとめ役」という意味が生まれました。

「肝」の意味

「肝」は重要な臓器で、「肝心」という言葉にも使われます:

  • 肝心(かんじん)= 最も大切なこと
  • 肝煎り(きもいり)= 重要な役割を担う人

ビジネスシーンでの使用例

トップ主導のプロジェクト

「この改革プロジェクトは、社長肝煎りの重要施策です」

仲介役の紹介

「今回の提携は、両社の顧問の肝煎りで実現しました」

人事や組織の説明

「新部門は専務の肝煎りで設立され、精鋭が集められた」

使用上の注意点

敬意を含む表現

「肝煎り」は、その人の重要性や影響力を示すため、通常は目上の人に対して使います:

適切:

  • 「社長肝煎りの」
  • 「部長肝煎りの」
  • 「専務肝煎りの」

不適切:

  • 「部下肝煎りの」(やや不自然)
  • 「新人肝煎りの」(不適切)

やや古風な表現

「肝煎り」はやや古風でフォーマルな表現です:

  • 正式なビジネス文書に適している
  • カジュアルな会話では「〜主導で」の方が自然

類似の表現との違い

「肝煎り」と「主導」

意味合いが異なります:

  • 肝煎り: 世話役、仲介役を兼ねた主導
  • 主導: リーダーシップをとること

「肝煎り」と「音頭取り」

格式が異なります:

  • 肝煎り: やや格式ばった表現
  • 音頭取り: やや口語的な表現

「肝煎り」と「後援」

関わり方が異なります:

  • 肝煎り: 積極的に世話をする、主導する
  • 後援: 支援する、バックアップする

よくある質問

Q. 「肝煎り」は必ず目上の人について使いますか?

A. はい、通常は権限や影響力のある人について使います。部下や同僚について使うことはまれです。

Q. 「社長肝煎りの」という言い方は正しいですか?

A. はい、非常によく使われる正しい表現です。「〜肝煎りの(プロジェクト/施策/取り組み)」という形が一般的です。

Q. 自分について使えますか?

A. 自分について使うと自画自賛に聞こえるため、避けるべきです。他者からの評価として使われるのが一般的です。

Q. ビジネス文書で使っても良いですか?

A. はい、フォーマルなビジネス文書に適した表現です。特に、トップ主導の重要施策を説明する際に効果的です。

Q. 「肝煎り」を使わない方が良い場面は?

A. 以下の場合は別の表現を検討しましょう:

  • カジュアルなコミュニケーション(「〜主導で」)
  • 若い世代とのやり取り(分かりにくい可能性)
  • 簡潔さが求められる場面(「〜が推進する」)

Q. 英語ではどう表現しますか?

A. 文脈によって異なります:

  • "under the leadership of"(〜の主導で)
  • "initiated by"(〜によって開始された)
  • "spearheaded by"(〜が先導する)
  • "championed by"(〜が推進する)

Q. 「肝煎り」と「お膳立て」の違いは?

A. 意味合いが異なります:

  • 肝煎り: 主導者、仲介役
  • お膳立て: 準備を整えること、環境を整えること

まとめ

  • 「肝煎り」は「きもいり」と読み、「世話役」「仲介役」「主導で行う」という意味
  • 「かんせん」「かんいり」は誤った読み方
  • 主に目上の人や権限のある人について使用
  • 「社長肝煎りの」という形でよく使われる
  • 江戸時代の村役人が語源
  • やや古風でフォーマルな表現
  • ビジネス文書に適している
  • カジュアルな場面では「〜主導で」の方が自然

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