「ご覧いただく」と「拝見する」の正しい使い分け

資料やメールを「見てほしい」とき、あるいは相手が「見た」ことを伝えたいとき、適切な敬語を使えていますか?「ご覧いただく」と「拝見する」は、どちらも「見る」の敬語ですが、使い分ける主体が異なります。

本記事では、この二つの表現の決定的な違いと、間違いやすいポイントを整理します。

どちらが「尊敬」で、どちらが「謙譲」か

敬語には、相手を敬う「尊敬語」と、自分をへりくだる「謙譲語」があります。

ご覧いただく(尊敬語)

  • 動作の主体: 相手(お客様、上司など)
  • 意味: 相手が「見る」ことを敬って言う。
  • 使い方: 「(相手に)見てほしい」ときに使う。

拝見する(謙譲語)

  • 動作の主体: 自分(または自分の身内)
  • 意味: 自分が「見る」ことをへりくだって言う。
  • 使い方: 「自分が(相手のものを)見た」ときに使う。

「ご覧いただく」の正しい例文

相手に何かを見てほしいときに使います。

1. 資料の確認を依頼する

「添付の資料をご覧いただけますでしょうか。」

2. 展示や紹介

「こちらが弊社自慢の新製品です。ぜひご覧ください。」

3. 注意点

「ご覧になられる」は二重敬語(ご覧になる + られる)なので、「ご覧になる」または「ご覧いただく」とするのが正解です。

「拝見する」の正しい例文

自分が相手のものを見たことを伝えるときに使います。

1. メールの確認

「先ほどお送りいただいたメール、拝見いたしました。」

2. 資料の閲読

「企画書を拝見しました。非常に素晴らしい内容ですね。」

3. 注意点

「拝見させていただきます」もよく使われますが、「拝見します」だけで十分に謙譲の意味が含まれています。「させていただきます」を重ねると過剰に感じる人もいるため、「拝見しました」「拝見いたしました」が最もスマートです。

よくある間違い:自分に「ご覧いただく」はNG

最も多い間違いが、自分が読んだことを伝える際に「ご覧いただきました」と言ってしまうことです。

  • × 「昨日お送りいただいた資料、ご覧いただきました。」
  • ○ 「昨日お送りいただいた資料、拝見いたしました。」

また、相手に対して「拝見してください」と言うのも誤りです。

  • × 「こちらの資料を拝見してください。」
  • ○ 「こちらの資料をご覧ください。」

よくある質問(FAQ)

Q. 「拝見する」に「いたす」をつけてもいいですか?

A. はい。「拝見いたしました」は非常に丁寧な表現としてビジネスで一般的に使われています。

Q. 「ご覧ください」と「ご覧になってください」の違いは?

A. 「ご覧ください」の方が簡潔で丁寧です。「ご覧になってください」も間違いではありませんが、少し口語的な印象を与えます。

Q. 相手が「見た」ことを聞きたいときは?

A. 「資料はご覧いただけましたでしょうか?」と聞くのが正解です。

まとめ

  • 相手が見るなら「ご覧いただく(尊敬語)」
  • 自分が見るなら「拝見する(謙譲語)」
  • 自分が読んだのに「ご覧いただきました」と言わないよう注意。

主体が誰かを常に意識することで、敬語のミスは劇的に減ります。正しい敬語で、相手に敬意を伝えましょう。

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