「流れに掹さす」は「ながれにさおさす」と読み、「時流に逆らう」「逆行する」という意味です。ビジネスシーンでも使われる表現ですが、多くの人が誤解している慣用句の一つです。
「流れに棹さす」と漢字で書かれることもありますが、本来の意味を正しく理解していないと、ビジネスの場で恥をかくことがあります。この記事では、正しい読み方と意味、そして実践的な使い方を解説します。
よくある間違い例と正しい使い方
間違った理解と正しい意味
多くの人が「流れに掹さす」を「時流に乗る」「順調に進む」という意味で理解していますが、これは誤用です。
間違った使い方の例:
- 「この新規事業は市場の流れに掹さして順調に進んでいます」(×)
- 「トレンドに掹さして売上が伸びています」(×)
- 「時代の流れに掹さす戦略が功を奏した」(×)
正しい使い方の例:
- 「環境保護の流れに掹さすような政策は批判を受けるだろう」(○)
- 「時代の流れに掹さす発言は避けるべきだ」(○)
- 「市場のトレンドに掹さす経営判断は慎重に検討すべきだ」(○)
なぜ間違えやすいのか
「掹さす」という言葉は、船頭が竹竿を水底について船を進める様子を表します。しかし、流れに逆らって竿を差すイメージから、本来は「逆らう」という意味になります。
一方で、「流れに乗る」という意味で使われることも多く、辞書によっては両方の意味を認めているものもあります。ただし、ビジネス文書や正式な場では本来の意味「逆らう」で使うのが無難です。
覚え方・使い分けのコツ
語源から理解する
「掹さす」は船を操る際の動作です。急流を遡る場合、竿を川底に突き刺して逆らって進む必要があります。この様子から「流れに逆らう」という意味が生まれました。
言い換え表現を覚える
迷った場合は、以下の明確な表現に言い換えるのがおすすめです:
- 逆らう表現として: 「時流に逆行する」「トレンドに反する」「潮流に背く」
- 順調な様子を表す場合: 「時流に乗る」「追い風を受ける」「波に乗る」
ビジネスシーンでの使用例
会議での発言
「この施策は、市場のデジタル化の流れに掹さすものと思われますが、慎重に検討する必要があります」
メールや報告書
「競合他社の動向を見ると、業界の流れに掹さす戦略は避けるべきだと考えます」
よくある質問
Q. 「流れに掹さす」は肯定的な意味でも使えますか?
A. 辞書によっては「流れに乗る」という意味も認められていますが、ビジネスシーンでは誤解を避けるため、本来の意味「逆らう」で使うことを推奨します。肯定的な意味で使いたい場合は「流れに乗る」と明確に表現しましょう。
Q. 類似の慣用句はありますか?
A. 「潮流に棹さす」「時流に棹さす」などがあります。いずれも同様に「逆らう」という意味で使われます。
Q. 口頭で使う場合の注意点は?
A. 口頭では「さおさす」という読み方が聞き取りにくく、意味も誤解されやすいため、「逆行する」「反する」といった明確な表現を使う方が無難です。
まとめ
- 「流れに掹さす」は「ながれにさおさす」と読み、「逆らう」という意味
- 「流れに乗る」という意味での使用は誤用とされることが多い
- ビジネスシーンでは本来の意味「逆らう」で使うのが安全
- 迷った場合は「逆行する」「反する」などの明確な表現に言い換える
- 語源は船を竿で操る様子から来ている
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