「社員はすべからく努力すべきだ」という表現、見たことはありませんか?多くの人が「すべて」という意味で使っていますが、これは誤用です。本来の「すべからく」は全く異なる意味を持つ言葉で、使い方も限定的です。
「すべからく」の本来の意味
「すべからく」とは、当然〜すべきである、〜するのが当たり前だという意味です。
- すべからく〜べしという形で使う
- 「当然」「当たり前に」という意味
- 「すべて」という意味ではない
重要なのは、必ず「〜べき」「〜べし」とセットで使うということです。
誤用「すべて」「みんな」
現代では、多くの人が「すべからく」を「すべて」「みんな」という意味で使っています。
例えば:
- × 「社員はすべからく参加してください」(すべてという意味)
- × 「これはすべからく正しい」(すべてという意味)
これらは誤用です。「すべて」と言いたい場合は、そのまま「すべて」と言うべきです。
よくある間違い例と正しい使い方
間違った使い方(誤用)
- × 「社員はすべからく参加する」(すべてという意味)
- × 「すべからくの人が賛成した」(全員という意味)
- × 「これはすべからく間違いだ」(すべてという意味)
正しい使い方(本来の意味)
- ○ 「学生はすべからく勉強すべし」(当然勉強すべきだ)
- ○ 「社会人はすべからく責任を持つべきである」(当然責任を持つべきだ)
- ○ 「リーダーはすべからく模範となるべし」(当然模範となるべきだ)
言い換え表現
「すべて」という意味で使いたい場合
- ○ 「すべての社員が参加する」
- ○ 「全員が賛成した」
- ○ 「みんなで協力する」
「当然〜すべき」という意味の場合
- ○ 「すべからく〜すべし」(正しい使い方)
- ○ 「当然〜すべきである」
- ○ 「〜するのが当たり前だ」
覚え方・使い分けのコツ
「すべからく」= 「当然」、必ず「〜べし」とセットと覚えましょう。
語源を理解する
「すべからく」は、「須く(すべく)」という古語から来ています。
- 須く= 当然、必ず
- すべからく〜べし= 当然〜すべきである
漢字で書くと「須く」ですが、現代ではひらがなで「すべからく」と書くことが多いです。
ビジネスシーンでの使用
ビジネスシーンでは、「すべからく」という言葉自体を使わない方が無難です。
- 古風で堅苦しい表現
- 誤用が広まっている
- 意図が伝わりにくい
代わりに:
- 「当然〜すべきである」
- 「〜するのが当たり前だ」
- 「すべての〜」
など、より明確な表現を使いましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. なぜこの誤用が広まったのか?
A. 「すべからく」という音から「すべて」を連想し、「すべて」という意味だと誤解したためです。また、「すべからく」という言葉が古語であり、現代ではあまり使われないことも影響しています。
Q. 文化庁の調査結果は?
A. 文化庁の調査では、約40%の人が「すべて」という誤った意味で理解しています。誤用が広まっている言葉の一つです。
Q. 「すべからく」を使わない方が良い?
A. はい、現代のビジネスシーンでは使わない方が無難です。古風すぎて不自然な印象を与え、かつ誤解を招きやすいためです。
Q. 「すべからく〜べし」は正しくても古臭い?
A. はい、正しい使い方ではありますが、非常に古風な表現です。現代では「当然〜すべきである」の方が自然です。
Q. 英語では何と言う?
A. 「should」「ought to」「it is natural that」などが該当します。
まとめ
- 「すべからく」は「当然〜すべきである」という意味
- 「すべて」という意味ではない
- 必ず「〜べし」「〜べき」とセットで使う
- ビジネスシーンでは使わない方が無難
- 誤用が広まっている言葉
正しい日本語を使うことで、ビジネスパーソンとしての信頼性が高まります。「すべからく」の本来の意味を理解しておきましょう。
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