「お召し上がりになられる」は二重敬語であり、正しくは「召し上がる」または「お召し上がりになる」です。過剰な敬語は逆に不自然で失礼な印象を与えることがあります。
ビジネスシーンでは、丁寧にしようとして敬語を重ねてしまう誤りが多く見られます。正しい敬語の使い方を理解しましょう。
よくある間違い例と正しい使い方
二重敬語の問題
「お召し上がりになられる」は、敬語が重複している誤った表現です:
間違った使い方:
- 「社長はお召し上がりになられましたか?」(×)
- 「お客様はお召し上がりになられますか?」(×)
- 「先生はお召し上がりになられるでしょうか?」(×)
正しい使い方:
- 「社長は召し上がりましたか?」(○)
- 「お客様は召し上がりますか?」(○)
- 「お客様はお召し上がりになりますか?」(○)
なぜ二重敬語なのか
「お召し上がりになられる」には、以下の敬語が重複しています:
- 「召し上がる」 = すでに尊敬語(「食べる」の尊敬語)
- 「お〜になる」 = 尊敬の表現
- 「〜られる」 = 尊敬の助動詞
つまり、3つも敬語が重なっているのです。
正しい敬語表現
「食べる」の尊敬語
「食べる」を尊敬語にする方法は複数ありますが、重複しないように注意しましょう:
正しい尊敬語:
- 「召し上がる」(○)- 最もシンプル
- 「お召し上がりになる」(○)- より丁寧
- 「召し上がられる」(△)- やや冗長だが許容されることもある
間違った表現:
- 「お召し上がりになられる」(×)- 二重敬語
覚え方・使い分けのコツ
「召し上がる」だけで十分
「召し上がる」は、それ自体が完成された尊敬語です:
- 「社長は召し上がりましたか?」
- 「お客様は召し上がりますか?」
- 「どうぞ召し上がってください」
さらに丁寧にしたい場合
より丁寧にしたい場合は、「お〜になる」を使いますが、「られる」は不要です:
- 「お召し上がりになる」(○)
- 「お召し上がりください」(○)
他の尊敬語との組み合わせに注意
敬語は1つずつ使うのが原則です:
基本の動詞 → 尊敬語(1つ)
- 食べる → 召し上がる
- 見る → ご覧になる
- 言う → おっしゃる
- 来る → いらっしゃる
ビジネスシーンでの使用例
接客の場面
レストラン: 「お飲み物は何を召し上がりますか?」
会食の案内: 「ご都合の良い日に、ぜひご一緒に召し上がりましょう」
社内でのコミュニケーション
上司への確認: 「部長は昼食を召し上がりましたか?」
取引先への案内: 「お時間があれば、こちらでお茶を召し上がってください」
類似の二重敬語に注意
「お〜になられる」の間違い
同じパターンの二重敬語は多く見られます:
間違った表現:
- 「お越しになられる」(×) → 「いらっしゃる」「お越しになる」(○)
- 「お帰りになられる」(×) → 「お帰りになる」(○)
- 「ご覧になられる」(×) → 「ご覧になる」(○)
「される」と「られる」の重複
尊敬の助動詞が重複するケースにも注意:
間違った表現:
- 「おっしゃられる」(×) → 「おっしゃる」(○)
- 「いらっしゃられる」(×) → 「いらっしゃる」(○)
よくある質問
Q. 「召し上がられる」は許容されますか?
A. 文法的には二重敬語ですが、実際には使われることもあり、許容される場合もあります。ただし、「召し上がる」の方がシンプルで美しい日本語です。
Q. なぜ二重敬語を使ってしまうのですか?
A. 丁寧にしようという気持ちが強すぎるためです。しかし、敬語を重ねすぎると、かえって不自然で過剰な印象を与えます。
Q. 「お召し上がりください」は正しいですか?
A. はい、正しい表現です。「お〜ください」という形は適切な尊敬表現です。
Q. 顧客や上司にはどの表現が最適ですか?
A. 以下のように使い分けましょう:
- 親しい上司: 「召し上がる」
- 目上の方・顧客: 「召し上がる」または「お召し上がりになる」
- 特に丁寧に: 「お召し上がりください」
Q. 「いただく」の尊敬語は?
A. 「いただく」は謙譲語です。尊敬語は:
- 「くださる」 = 相手が自分に何かをする場合
混同しないよう注意しましょう。
Q. 二重敬語を指摘されたらどう対応しますか?
A. 素直に認めて、今後気をつけることを伝えましょう: 「ご指摘ありがとうございます。以後気をつけます」
まとめ
- 「お召し上がりになられる」は二重敬語で誤り
- 正しくは「召し上がる」または「お召し上がりになる」
- 「召し上がる」だけで十分な尊敬語
- さらに丁寧にする場合は「お召し上がりになる」
- 「お越しになられる」「ご覧になられる」も同様の誤り
- 敬語は重ねすぎず、シンプルに使う方が美しい
- ビジネスでは「召し上がる」が最も自然で適切
- 丁寧にしようとして敬語を重ねすぎないよう注意
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