「お伺いします」「お伺いいたします」という表現、ビジネスメールでよく使っていませんか?実はこの表現は二重敬語の可能性があるとして議論されています。本記事では、「お伺いする」が正しい敬語なのか、そしてビジネスシーンでどう使い分けるべきかを詳しく解説します。
「お伺いする」は二重敬語か?
結論から言うと、「お伺いする」は慣用表現として広く認められています。確かに「伺う」自体が謙譲語であり、さらに「お~する」という謙譲表現を加えているため、二重敬語だという指摘もあります。
しかし、文化庁の「敬語の指針」でも、慣習として定着している二重敬語は許容されるとされており、「お伺いする」はその代表例です。
二重敬語とは
二重敬語とは、同じ種類の敬語を重ねて使うことです。例えば:
- × 「お召し上がりになられる」(「お召し上がりになる」+「られる」)
- × 「おっしゃられる」(「おっしゃる」+「られる」)
これらは明らかな誤りですが、「お伺いする」は長年の使用実績があり、ビジネスマナーとして定着しています。
よくある間違い例と正しい使い方
正しい使い方
- ○ 「明日、御社にお伺いします」
- ○ 「詳細についてお伺いしたく存じます」
- ○ 「ご意見をお伺いできれば幸いです」
- ○ 「来週の会議にお伺いいたします」
より丁寧な表現
- ○ 「明日、御社に伺います」(シンプルで丁寧)
- ○ 「詳細について伺いたく存じます」
- ○ 「ご意見を伺えれば幸いです」
避けるべき表現
- × 「お伺いさせていただきます」(過剰な敬語)
- × 「お伺いいたしたく存じ上げます」(敬語の重ね過ぎ)
覚え方・使い分けのコツ
ビジネスシーンでは、相手や状況に応じて使い分けるのがポイントです。
社内・親しい取引先の場合
- 「伺います」で十分丁寧
- シンプルで自然な印象を与える
重要な取引先・初対面の場合
- 「お伺いします」「お伺いいたします」がより丁寧
- 慣用表現として広く認められている
メールでの使い分け
- 件名: 「訪問日程のご相談」
- 本文: 「来週、御社にお伺いしたく、ご都合をお聞かせいただけますでしょうか」
このように、状況に応じて自然な敬語を選ぶことが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「お伺いする」は本当に使って良いの?
A. はい、慣用表現として広く認められています。ビジネスメールや会話で使用しても問題ありません。ただし、二重敬語を避けたい場合は「伺います」とするのがより適切です。
Q. 「お伺いいたします」はさらに丁寧?
A. 「お伺いします」と「お伺いいたします」は、ほぼ同じ丁寧度です。「いたします」を加えることで若干丁寧になりますが、状況によっては冗長に感じられることもあります。
Q. 上司に使う場合はどう言えば良い?
A. 社内の上司であれば「伺います」で十分です。「お伺いします」は主に社外の人に対して使います。
Q. 「参ります」との違いは?
A. 「伺う」は訪問・質問の両方に使えますが、「参る」は主に訪問のみに使います。「ご意見を参る」とは言えませんが、「ご意見を伺う」は正しい表現です。
Q. 電話で「お伺いしたいのですが」は正しい?
A. はい、正しい表現です。質問をする際の前置きとして、ビジネスマナーに適った丁寧な言い方です。
まとめ
- 「お伺いする」は慣用表現として広く認められている
- 二重敬語だが、ビジネスシーンで使用しても問題ない
- よりシンプルにしたい場合は「伺います」を使う
- 状況に応じて「伺います」と「お伺いします」を使い分ける
- 過剰な敬語(「お伺いさせていただきます」など)は避ける
正しい敬語を使うことで、ビジネスシーンでの印象が大きく変わります。自然で適切な敬語表現を身につけましょう。
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