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「させていただく」の正しい使い方とは?ビジネスで多用すると失礼になる理由

「説明させていただきます」「確認させていただきました」ビジネスシーンで頻繁に使われる「させていただく」ですが、実は多用すると相手に違和感を与えたり、失礼な印象を与えたりすることがあります。正しい使い方と避けるべき場面を理解して、自然な敬語を使いこなしましょう。

「させていただく」の正しい意味

「させていただく」は相手の許可を得て、自分が何かをさせてもらうという意味の謙譲表現です。使うべき条件は以下の2つです:

  1. 相手の許可や同意が必要な行為である
  2. その行為によって自分が恩恵を受ける

この2つの条件を満たさない場合、「させていただく」を使うと不自然になります。

「させていただく」の誤用が増えた理由

現代のビジネスシーンでは、丁寧に言おうとするあまり「させていただく」を多用する傾向があります。しかし、本来は使うべき場面が限られた表現なのです。

多用すると、へりくだりすぎて不自然、または責任回避のように聞こえることがあります。

よくある間違い例と正しい使い方

不適切な使い方(多用の例)

  • × 「本日は説明させていただきます」→ ○ 「本日は説明いたします
  • × 「資料を送付させていただきました」→ ○ 「資料を送付いたしました
  • × 「報告させていただきます」→ ○ 「報告いたします

これらは相手の許可が特に必要ない行為なので、「いたします」で十分です。

正しい使い方(許可や恩恵がある場合)

  • ○ 「お時間をいただき、説明させていただきます」(時間をもらうという恩恵)
  • ○ 「ご了承いただければ、進行させていただきます」(許可を得る)
  • ○ 「貴重な機会をいただき、参加させていただきます」(恩恵を受ける)

シンプルな言い換え例

  • 「担当させていただきます」→ 「担当いたします
  • 「検討させていただきます」→ 「検討いたします
  • 「確認させていただきます」→ 「確認いたします

覚え方・使い分けのコツ

「させていただく」を使う前に、2つの質問を自問自答しましょう:

  1. 相手の許可や同意が必要か?
  2. 自分が恩恵を受けるか?

この2つのどちらか、または両方に「YES」なら使用OK。両方「NO」なら「いたします」を使いましょう。

判断基準の例

場面 適切な表現 理由
会議で報告する 「報告いたします」 業務の一環で許可不要
休暇を取る 「休暇を取らせていただきます」 許可が必要
メールを送る 「メールいたしました」 業務の一環で許可不要
特別な機会に登壇する 「お話しさせていただきます」 機会をもらう恩恵

よくある質問(FAQ)

Q. メールの冒頭で「ご連絡させていただきます」は間違い?

A. 通常の業務連絡であれば「ご連絡いたします」で十分です。ただし、「お時間をいただき、ご連絡させていただきます」のように恩恵を明示すれば適切です。

Q. 「させていただく」を全く使わないのもおかしい?

A. いいえ、適切な場面で使い分ければ問題ありません。無理に使う必要はなく、「いたします」で自然な敬語になります。

Q. 上司に使う場合はどうすべき?

A. 上司への報告でも、通常の業務であれば「いたします」で十分です。特別な許可や機会をもらった場合にのみ「させていただく」を使いましょう。

Q. 「させていただく」の代わりに使える表現は?

A. 「いたします」「申し上げます」「承ります」など、状況に応じた謙譲語を使い分けましょう。

Q. どうしても判断に迷う場合は?

A. 迷ったら「いたします」を使うのが無難です。「させていただく」を多用するよりも、シンプルな敬語の方が自然で好印象を与えます。

まとめ

  • 「させていただく」は許可や恩恵がある場合に使う
  • 多用すると不自然で、かえって失礼な印象を与える
  • 通常の業務報告では「いたします」で十分
  • 2つの条件(許可・恩恵)を満たすか確認する
  • 迷ったら「いたします」を使うのが無難

適切な敬語を使うことで、ビジネスシーンでの信頼性が高まります。「させていただく」を正しく使い分けましょう。

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