「説明させていただきます」「確認させていただきました」ビジネスシーンで頻繁に使われる「させていただく」ですが、実は多用すると相手に違和感を与えたり、失礼な印象を与えたりすることがあります。正しい使い方と避けるべき場面を理解して、自然な敬語を使いこなしましょう。
「させていただく」の正しい意味
「させていただく」は相手の許可を得て、自分が何かをさせてもらうという意味の謙譲表現です。使うべき条件は以下の2つです:
- 相手の許可や同意が必要な行為である
- その行為によって自分が恩恵を受ける
この2つの条件を満たさない場合、「させていただく」を使うと不自然になります。
「させていただく」の誤用が増えた理由
現代のビジネスシーンでは、丁寧に言おうとするあまり「させていただく」を多用する傾向があります。しかし、本来は使うべき場面が限られた表現なのです。
多用すると、へりくだりすぎて不自然、または責任回避のように聞こえることがあります。
よくある間違い例と正しい使い方
不適切な使い方(多用の例)
- × 「本日は説明させていただきます」→ ○ 「本日は説明いたします」
- × 「資料を送付させていただきました」→ ○ 「資料を送付いたしました」
- × 「報告させていただきます」→ ○ 「報告いたします」
これらは相手の許可が特に必要ない行為なので、「いたします」で十分です。
正しい使い方(許可や恩恵がある場合)
- ○ 「お時間をいただき、説明させていただきます」(時間をもらうという恩恵)
- ○ 「ご了承いただければ、進行させていただきます」(許可を得る)
- ○ 「貴重な機会をいただき、参加させていただきます」(恩恵を受ける)
シンプルな言い換え例
- 「担当させていただきます」→ 「担当いたします」
- 「検討させていただきます」→ 「検討いたします」
- 「確認させていただきます」→ 「確認いたします」
覚え方・使い分けのコツ
「させていただく」を使う前に、2つの質問を自問自答しましょう:
- 相手の許可や同意が必要か?
- 自分が恩恵を受けるか?
この2つのどちらか、または両方に「YES」なら使用OK。両方「NO」なら「いたします」を使いましょう。
判断基準の例
| 場面 | 適切な表現 | 理由 |
|---|---|---|
| 会議で報告する | 「報告いたします」 | 業務の一環で許可不要 |
| 休暇を取る | 「休暇を取らせていただきます」 | 許可が必要 |
| メールを送る | 「メールいたしました」 | 業務の一環で許可不要 |
| 特別な機会に登壇する | 「お話しさせていただきます」 | 機会をもらう恩恵 |
よくある質問(FAQ)
Q. メールの冒頭で「ご連絡させていただきます」は間違い?
A. 通常の業務連絡であれば「ご連絡いたします」で十分です。ただし、「お時間をいただき、ご連絡させていただきます」のように恩恵を明示すれば適切です。
Q. 「させていただく」を全く使わないのもおかしい?
A. いいえ、適切な場面で使い分ければ問題ありません。無理に使う必要はなく、「いたします」で自然な敬語になります。
Q. 上司に使う場合はどうすべき?
A. 上司への報告でも、通常の業務であれば「いたします」で十分です。特別な許可や機会をもらった場合にのみ「させていただく」を使いましょう。
Q. 「させていただく」の代わりに使える表現は?
A. 「いたします」「申し上げます」「承ります」など、状況に応じた謙譲語を使い分けましょう。
Q. どうしても判断に迷う場合は?
A. 迷ったら「いたします」を使うのが無難です。「させていただく」を多用するよりも、シンプルな敬語の方が自然で好印象を与えます。
まとめ
- 「させていただく」は許可や恩恵がある場合に使う
- 多用すると不自然で、かえって失礼な印象を与える
- 通常の業務報告では「いたします」で十分
- 2つの条件(許可・恩恵)を満たすか確認する
- 迷ったら「いたします」を使うのが無難
適切な敬語を使うことで、ビジネスシーンでの信頼性が高まります。「させていただく」を正しく使い分けましょう。
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