「お客様がお越しになられます」という表現、ビジネスシーンでよく耳にしますが、実はこれは二重敬語で誤りです。丁寧に言おうとするあまり、敬語を重ねすぎてしまうケースは多いですが、正しい敬語を使うことでより洗練された印象を与えられます。
「お越しになられる」が間違いの理由
「お越しになられる」は二重敬語です。
- 「お越しになる」= 尊敬語(正しい)
- 「〜られる」= 尊敬の助動詞
この2つの尊敬表現を重ねているため、「お越しになる」+「られる」= 二重敬語となり、誤りとされます。
正しい敬語表現
正しい使い方
- ○ 「お客様がお越しになります」
- ○ 「社長がお越しになりました」
- ○ 「明日お越しになる予定です」
別の正しい表現
- ○ 「お客様がいらっしゃいます」
- ○ 「社長が見えました」
- ○ 「明日来られる予定です」
よくある間違い例と正しい使い方
二重敬語の誤用例
- × 「部長がお越しになられます」→ ○ 「部長がお越しになります」
- × 「先生がお見えになられました」→ ○ 「先生がお見えになりました」
- × 「お客様がお帰りになられました」→ ○ 「お客様がお帰りになりました」
ビジネスメールでの使用例
受付・案内の場面
- ○ 「お客様がお越しになりましたら、ご案内いたします」
- ○ 「ご来社の際は、受付にお越しください」
アポイントメントの確認
- ○ 「明日10時にお越しいただけますでしょうか」
- ○ 「ご都合の良い日時にお越しください」
報告の場面
- ○ 「先ほど取引先の方がお越しになりました」
- ○ 「本日は多くのお客様がお越しになりました」
覚え方・使い分けのコツ
「お〜になる」で既に尊敬語になっていると覚えましょう。
二重敬語を避けるポイント
既に尊敬語の表現に「られる」を付けない
- お越しになる(尊敬語)→ × お越しになられる
- お見えになる(尊敬語)→ × お見えになられる
- お帰りになる(尊敬語)→ × お帰りになられる
正しい尊敬語の形
| 動詞 | 誤った二重敬語 | 正しい尊敬語 | 別の尊敬語 |
|---|---|---|---|
| 来る | お越しになられる | お越しになる | いらっしゃる |
| 見る | ご覧になられる | ご覧になる | - |
| 帰る | お帰りになられる | お帰りになる | - |
| 話す | お話しになられる | お話しになる | - |
よくある質問(FAQ)
Q. 「お越しになられる」は絶対に使ってはいけない?
A. 誤りではありますが、ビジネスシーンで広く使われているため、強く指摘されることは少ないです。ただし、正しい敬語を使える方が信頼性が高まります。
Q. 相手が二重敬語を使っていたら指摘すべき?
A. ビジネスシーンでは、相手の敬語の誤りを直接指摘するのは避けましょう。自分は正しい敬語を使うことを心がければ十分です。
Q. 「来られる」は正しい?
A. 「来られる」は尊敬語として正しい表現です。ただし、可能の意味(「来ることができる」)と混同される場合があるため、「お越しになる」「いらっしゃる」の方が明確です。
Q. 「お越しいただく」は二重敬語?
A. 「お越しいただく」は謙譲語であり、二重敬語ではありません。「お客様にお越しいただく」のように使うのは正しい表現です。
Q. 他に注意すべき二重敬語は?
A. 「おっしゃられる」(→ おっしゃる)、「召し上がられる」(→ 召し上がる)、「ご覧になられる」(→ ご覧になる)なども二重敬語なので注意しましょう。
まとめ
- 「お越しになられる」は二重敬語で誤り
- 正しくは「お越しになる」または「いらっしゃる」
- 「お〜になる」で既に尊敬語になっている
- 二重敬語は丁寧すぎて不自然な印象を与える
- 正しい敬語を使うことで洗練された印象になる
正しい敬語を使うことで、ビジネスパーソンとしての信頼性が高まります。二重敬語に注意して、適切な敬語表現を使いましょう。
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