「資料をいただきました」と「資料をくださいました」、どちらが正しいでしょうか?実は両方とも正しいのですが、ニュアンスが異なります。「いただく」と「くださる」の違いを理解して、ビジネスシーンで適切に使い分けられるようになりましょう。
「いただく」と「くださる」の違い
「いただく」は謙譲語
「いただく」は、自分の動作をへりくだって表現する謙譲語です。
- 「もらう」の謙譲語
- 自分が恩恵を受けることに焦点
- 主語は自分
例:「私が資料をいただきました」
「くださる」は尊敬語
「くださる」は、相手の動作を敬って表現する尊敬語です。
- 「くれる」の尊敬語
- 相手が与えてくれることに焦点
- 主語は相手
例:「部長が資料をくださいました」
よくある間違い例と正しい使い方
どちらも正しいが、ニュアンスが異なる
「いただく」(自分が受け取る)
- ○ 「資料をいただきました」(私が受け取った)
- ○ 「ご指導をいただきありがとうございます」(私が受けた)
- ○ 「お時間をいただけますか」(私が時間をもらう)
「くださる」(相手が与える)
- ○ 「資料をくださいました」(相手が与えてくれた)
- ○ 「ご指導くださりありがとうございます」(相手が指導してくれた)
- ○ 「お時間をください」(相手に時間を与えてほしい)
ビジネスメールでの使い分け
「いただく」を使う場面
お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
貴重なご意見をいただき、感謝申し上げます。
「くださる」を使う場面
お忙しい中、お時間をくださりありがとうございます。
貴重なご意見をくださり、感謝申し上げます。
覚え方・使い分けのコツ
「いただく」= 自分目線、「くださる」= 相手目線と覚えましょう。
判断基準
自分の動作や受け取りに焦点を当てる場合
- 「いただく」を使う
- 「私が~していただく」
相手の行為や与えることに焦点を当てる場合
- 「くださる」を使う
- 「相手が~してくださる」
より丁寧な表現
| 基本形 | いただく(謙譲) | くださる(尊敬) |
|---|---|---|
| もらう | いただく | くださる |
| してもらう | していただく | してくださる |
| 教えてもらう | 教えていただく | 教えてくださる |
| 来てもらう | 来ていただく | 来てくださる |
よくある質問(FAQ)
Q. どちらを使うべきか迷ったら?
A. どちらでも意味は通じますが、一般的には「いただく」の方が使用頻度が高いです。迷ったら「いただく」を使いましょう。
Q. 「くださいますようお願いいたします」は正しい?
A. はい、正しい表現です。「ご確認くださいますようお願いいたします」のように、依頼する場合によく使われます。
Q. 「いただけますでしょうか」は二重敬語?
A. 厳密には二重敬語ですが、ビジネスマナーとして広く使われています。「いただけますか」の方がシンプルです。
Q. 感謝を伝える場合はどちらが良い?
A. 両方使えますが、「くださり」の方が相手の行為を強調するため、感謝の気持ちがより伝わります。
- 「ご協力いただきありがとうございます」
- 「ご協力くださりありがとうございます」
Q. 「ください」と「いただけますか」の違いは?
A. 「ください」は直接的な依頼、「いただけますか」はより丁寧で婉曲的な依頼です。ビジネスシーンでは後者の方が適切な場合が多いです。
まとめ
- 「いただく」は謙譲語(自分が受け取る)
- 「くださる」は尊敬語(相手が与える)
- 自分目線なら「いただく」、相手目線なら「くださる」
- 感謝を伝える場合は「くださる」が効果的
- 迷ったら「いただく」を使えば無難
正しい敬語を使うことで、ビジネスシーンでの信頼性が高まります。「いただく」と「くださる」を使い分けましょう。
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