間違えやすい日本語辞典

「拝見させていただきます」は二重敬語?正しい敬語表現とビジネスマナー

「資料を拝見させていただきます」という表現、ビジネスメールでよく使いますよね?でも、「拝見させていただきます」は二重敬語で、正しくは「拝見いたします」です。正しい敬語表現を身につけましょう。

「拝見させていただきます」の問題点

二重敬語の理由

「拝見する」は既に謙譲語なので、「させていただく」を重ねると二重敬語になります。

  • 「拝見」= 「見る」の謙譲語
  • 「させていただく」= 謙譲の表現
  • 二重に敬語を重ねている

正しい表現

「拝見いたします」が正しい

最も適切な表現

  • ○ 「資料を拝見いたします
  • ○ 「メールを拝見いたしました
  • ○ 「ご提案を拝見いたします

その他の正しい表現

シンプルな表現

  • ○ 「拝見します」(やや簡潔)
  • ○ 「拝見しました」(過去形)

より丁寧な表現

  • ○ 「拝読いたします」(文書を読む場合)
  • ○ 「見せていただきます」(「拝見」を使わない)

よくある間違い例と正しい使い方

誤った表現(二重敬語)

  • × 「資料を拝見させていただきます
  • × 「メールを拝見させていただきました
  • × 「ご提案を拝見させていただきたく存じます

正しい表現

ビジネスメール

  • ○ 「添付資料を拝見いたしました
  • ○ 「ご提案内容を拝見いたします
  • ○ 「資料を拝読いたしました

会話

  • ○ 「資料を拝見しました
  • ○ 「見せていただけますか」

覚え方・使い分けのコツ

「拝見」は既に謙譲語、「させていただく」を付けないと覚えましょう。

敬語の整理

基本形 謙譲語 二重敬語(誤)
見る 拝見する 拝見させていただく
読む 拝読する 拝読させていただく
聞く 拝聴する 拝聴させていただく

「させていただく」の使い方

「させていただく」は以下の条件で使います。

  1. 相手の許可が必要な場合

    • ○ 「休ませていただきます」(許可が必要)
  2. 恩恵を受ける場合

    • ○ 「参加させていただきます」(恩恵を受ける)

「拝見する」には許可も恩恵も不要なので、「させていただく」は不要です。

ビジネスメールでの使用例

資料確認の返信

ご送付いただいた資料を
拝見いたしました。
詳細について、以下の通り
ご質問がございます。

提案への返信

ご提案内容を拝見し、
大変興味深く感じました。
ぜひ詳しくお話を伺いたく存じます。

「拝見」を使わない表現

より自然な表現

カジュアルなビジネスシーン

  • ○ 「資料を確認いたしました
  • ○ 「メールを拝読いたしました
  • ○ 「見せていただきました」

「拝見」が重い場合

  • ○ 「資料を確認させていただきました」(この場合は二重敬語ではない)

類似の二重敬語に注意

その他の二重敬語

「伺う」系

  • × 「お伺いさせていただきます」(三重敬語)
  • ○ 「伺います

「いただく」系

  • × 「お送りさせていただきます
  • ○ 「お送りいたします

よくある質問(FAQ)

Q. 「拝見させていただきます」は完全に間違い?

A. 二重敬語なので適切ではありませんが、ビジネスシーンで広く使われているため、完全な誤りとは言えません。ただし、正しくは「拝見いたします」です。

Q. 「拝読させていただきます」は?

A. 「拝読」も謙譲語なので、二重敬語です。「拝読いたします」が正しい表現です。

Q. 「見させていただきます」は正しい?

A. 「見る」の謙譲語を使わない場合、「見させていただきます」は許容されます。ただし、「拝見いたします」の方がより丁寧です。

Q. どの表現が最も丁寧?

A.

  1. 拝見いたします(最も適切)
  2. 拝見します(やや簡潔)
  3. 見せていただきます(二重敬語ではない)

Q. 英語では何と言う?

A. 「I will review」「I have reviewed」「I will take a look at」などが該当します。

まとめ

  • 「拝見させていただきます」は二重敬語
  • 正しくは「拝見いたします」
  • 「拝見」は既に謙譲語なので「させていただく」は不要
  • 「拝読いたします」「見せていただきます」も適切
  • 二重敬語に注意してシンプルな表現を使う

正しい敬語を使うことで、ビジネスマナーが向上します。「拝見いたします」を正しく使いましょう。

この記事をシェア