間違えやすい日本語辞典

「いたします」と「致します」の違いとは?ビジネスで正しく使い分ける方法

「対応いたします」と「対応致します」、どちらが正しいでしょうか?実は「いたします」がひらがなで書くのが正しいとされています。漢字の「致します」との使い分けを理解しましょう。

「いたします」と「致します」の違い

「いたします」の使い方(推奨)

補助動詞として使う場合はひらがな

  • ○ 「対応いたします
  • ○ 「確認いたします
  • ○ 「ご連絡いたします

「致します」の使い方(注意が必要)

本動詞として使う場合は漢字

  • ○ 「混乱を致しました」(混乱を引き起こした)
  • ○ 「ご迷惑を致しました」(迷惑をかけた)

ただし、現代ではひらがな表記が推奨されています。

補助動詞と本動詞の違い

補助動詞とは

他の動詞を補助する役割

  • 「確認いたします」= 「確認する」の謙譲語
  • 「報告いたします」= 「報告する」の謙譲語
  • ひらがなで書く

本動詞とは

独立した動詞として機能

  • 「混乱を致す」= 混乱を引き起こす
  • 「ご迷惑を致す」= 迷惑をかける
  • 漢字で書ける(ただし現代ではひらがな推奨)

よくある間違い例と正しい使い方

正しい表現(ひらがな)

ビジネスメール

  • ○ 「ご連絡いたします
  • ○ 「対応いたします
  • ○ 「確認いたします

避けるべき表現(漢字の補助動詞)

補助動詞を漢字で書く

  • △ 「ご連絡致します」(ひらがなが推奨)
  • △ 「対応致します」(ひらがなが推奨)
  • △ 「確認致します」(ひらがなが推奨)

覚え方・使い分けのコツ

補助動詞は「ひらがな」、本動詞は「漢字も可」(ただし現代ではひらがな推奨)と覚えましょう。

判断基準

使い方 表記
補助動詞 ひらがな(推奨) 確認いたします
本動詞 漢字も可(ひらがな推奨) ご迷惑を致しました

他の補助動詞も同じルール

ひらがなで書く補助動詞

  • いただく = 「お送りいただく
  • ください = 「ご確認ください
  • おく = 「準備しておく
  • おります = 「待っております

ビジネスメールでの使用例

依頼のメール

お忙しいところ恐れ入りますが、
資料をご確認いたしますので、
お送りいただけますでしょうか。

報告のメール

本日の会議の結果を
ご報告いたします。
詳細は添付資料をご覧ください。

文化庁の見解

公用文の書き方

文化庁は「補助動詞はひらがなで書く」ことを推奨しています。

推奨される表記

  • ○ 確認いたします
  • ○ 報告いたします
  • ○ ご連絡いたします

ビジネスシーンでの慣習

ビジネスシーンでも、ひらがな表記が一般的になっています。

その他の補助動詞の表記

ひらがなで書く補助動詞

「〜ていただく」

  • ○ 「お送りいただく
  • × 「お送り頂く」(漢字は避ける)

「〜てください」

  • ○ 「ご確認ください
  • × 「ご確認下さい」(漢字は避ける)

「〜ております」

  • ○ 「待っております
  • × 「待って居ります」(漢字は避ける)

よくある質問(FAQ)

Q. 「致します」は完全に間違い?

A. 完全な誤りではありませんが、補助動詞としては「いたします」がひらがな表記が推奨されています。

Q. 履歴書では漢字を使うべき?

A. いいえ、履歴書やビジネス文書でも「いたします」がひらがなで書くのが適切です。

Q. 「ご迷惑を致しました」は正しい?

A. 本動詞として使う場合は漢字も可能ですが、現代では「ご迷惑をおかけいたしました」など別の表現を使う方が一般的です。

Q. なぜひらがなで書くの?

A. 補助動詞は文法的な役割を持つため、ひらがなで書いて本動詞と区別するという考え方です。

Q. 英語では何と言う?

A. 「I will do」「I will check」「I will contact」などが該当します。

まとめ

  • 補助動詞は「いたします」とひらがなで書く
  • 「致します」は漢字の本動詞(現代ではひらがな推奨)
  • ビジネス文書では「いたします」が標準
  • 他の補助動詞も同じくひらがな表記
  • 文化庁もひらがな表記を推奨

正しい表記を使うことで、ビジネス文書の質が向上します。「いたします」をひらがなで正しく使いましょう。

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