間違えやすい日本語辞典

「琴線に触れる」の意味を誤解していませんか?本来の意味と正しい使い方

「その発言は私の琴線に触れた」と聞いて、どんな意味だと思いますか?多くの人が「怒らせた」「不快にさせた」という意味で使っていますが、本来の意味は「心の奥深くに感動を与える」です。真逆の誤用をしないよう、正しい意味を理解しておきましょう。

「琴線に触れる」の本来の意味

「琴線に触れる」とは、心の奥深くに感動を与える、心を強く動かすという意味です。

  • 琴線= 心の琴の弦
  • 触れる= 奏でる、響かせる
  • 良い意味で感動させる
  • ポジティブな表現

誤用「怒らせる」「逆鱗に触れる」

現代では、多くの人が「琴線に触れる」を「怒らせる」「不快にさせる」という意味で使っています。これは「逆鱗に触れる」との混同です。

例えば:

  • × 「彼の琴線に触れてしまった」(怒らせたという意味)
  • × 「琴線に触れる発言をしてしまった」(不快にさせたという意味)

これらは誤用です。本来は「感動させる」という良い意味なのです。

よくある間違い例と正しい使い方

間違った使い方(誤用)

  • × 「上司の琴線に触れて怒られた」(怒らせたという意味)
  • × 「琴線に触れるような発言は避けるべきだ」(不快にさせるという意味)

正しい使い方(本来の意味)

  • ○ 「その映画は私の琴線に触れた」(深く感動した)
  • ○ 「彼の演奏は聴衆の琴線に触れた」(心を動かした)
  • ○ 「琴線に触れるメッセージ」(心に響くメッセージ)

「逆鱗に触れる」との違い

琴線に触れる

  • ○ 「心に響く、感動させる」(良い意味)

逆鱗に触れる

  • ○ 「目上の人を怒らせる」(悪い意味)
  • 龍の顎の下にある逆さの鱗に触れると怒り狂うという故事から

覚え方・使い分けのコツ

「琴(こと)の弦に触れて美しい音を奏でる」= 「心に感動を与える」と覚えましょう。

語源を理解する

「琴線」とは、心の中にある琴の弦を比喩的に表しています。

  • 琴の弦を奏でると美しい音が出る
  • 心の琴線に触れると感動が生まれる
  • ポジティブな響きを生む

類似表現

  • 琴線に触れる= 心に響く、感動させる
  • 心に響く= 感動を与える
  • 胸を打つ= 深く感動させる
  • 心を動かす= 感情を揺さぶる

ビジネスシーンでの使用例

製品開発

お客様の琴線に触れる商品を
開発することを目指します。
(心に響く商品)

プレゼンテーション

聴衆の琴線に触れる
プレゼンテーションができました。
(感動を与えた)

よくある質問(FAQ)

Q. なぜこの誤用が広まったのか?

A. 「逆鱗に触れる」(怒らせる)という似た表現と混同したためです。また、「触れる」という言葉から「タブーに触れる」というネガティブなイメージを連想する人も多いです。

Q. 文化庁の調査結果は?

A. 文化庁の調査では、約40%の人が「怒りを買う」という誤った意味で理解しています。誤用が広まっている言葉の一つです。

Q. ビジネスシーンで使うべき?

A. 誤解を招きやすい言葉なので、ビジネスシーンでは「心に響く」「感動を与える」など、より明確な表現を使う方が無難です。

Q. 「琴線に触れる」と「逆鱗に触れる」を見分けるには?

A.

  • 琴線に触れる = 良い意味(感動)
  • 逆鱗に触れる = 悪い意味(怒らせる)

と覚えましょう。

Q. 英語では何と言う?

A. 「strike a chord」「touch one's heart」「resonate with」などが該当します。

まとめ

  • 「琴線に触れる」は「心に感動を与える」という意味
  • 「怒らせる」は誤用
  • 「逆鱗に触れる」との混同に注意
  • 本来はポジティブな表現
  • ビジネスシーンでは誤解を避けるため、明確な表現を使う

正しい日本語を使うことで、ビジネスパーソンとしての信頼性が高まります。「琴線に触れる」の本来の意味を理解しておきましょう。

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