間違えやすい日本語辞典

「とんでもございません」は間違い?正しい謙遜の表現とビジネスマナー

「とんでもございません」という表現、謙遜の言葉として使っていませんか?実はこの表現は文法的に誤りとされてきましたが、近年では許容されつつあります。ビジネスシーンで適切な謙遜の表現を使えるよう、正しい使い方を身につけましょう。

「とんでもございません」の問題点

「とんでもございません」が問題とされる理由は、「とんでもない」を分解して「ない」だけを「ございません」に変えているためです。

  • 「とんでもない」= 一つの形容詞
  • 「とんでも」+「ない」ではない
  • したがって「ない」だけを「ございません」に変えるのは不適切

正しい表現は何か

従来の正しい表現

  • ○ 「とんでもないことでございます
  • ○ 「とんでもないです

現代で許容されている表現

文化庁の指針により、「とんでもございません」も許容されるようになりました。

  • ○ 「とんでもございません」(現代では許容)
  • ○ 「とんでもありません」(こちらも許容)

よくある間違い例と正しい使い方

ビジネスシーンでの謙遜表現

褒められたとき

  • ○ 「とんでもないことでございます」(最も正式)
  • ○ 「とんでもございません」(許容される)
  • ○ 「恐れ入ります」(別の表現)

感謝されたとき

  • ○ 「とんでもないです」(カジュアル)
  • ○ 「とんでもございません」(丁寧)
  • ○ 「いえいえ、こちらこそ」(別の表現)

より適切な代替表現

謙遜する場合

  • ○ 「恐れ入ります
  • ○ 「恐縮です
  • ○ 「もったいないお言葉です
  • ○ 「まだまだ未熟でございます

感謝に対して

  • ○ 「こちらこそありがとうございます
  • ○ 「いえ、当然のことをしただけです

覚え方・使い分けのコツ

迷ったら「恐れ入ります」や「恐縮です」を使うのが無難です。

場面別の使い分け

場面 適切な表現 理由
上司に褒められた 恐れ入ります 謙遜と感謝
取引先に感謝された 恐縮です 丁寧な謙遜
同僚に褒められた とんでもないです カジュアル
正式な場面 とんでもないことでございます 文法的に正しい

ビジネスメールでの使用例

褒められたとき

お褒めいただき、恐れ入ります。
まだまだ未熟でございますが、
今後とも精進してまいります。

感謝されたとき

とんでもございません。
お役に立てて光栄です。
こちらこそありがとうございます。

よくある質問(FAQ)

Q. 「とんでもございません」は完全に間違い?

A. 文化庁の指針により、現代では許容される表現とされています。ただし、「とんでもないことでございます」の方がより正式です。

Q. 目上の人に「とんでもないです」は失礼?

A. やや口語的な印象を与えます。目上の人には「とんでもございません」または「恐れ入ります」を使う方が無難です。

Q. 「とんでもありません」は正しい?

A. 「とんでもございません」と同様、許容される表現です。ただし、文法的には「とんでもないことです」が正しいとされます。

Q. 英語では何と言う?

A. 「Not at all」「You're too kind」「I'm flattered」などが該当します。

Q. 「とんでもない」の語源は?

A. 「途でもない」が語源で、「道理に外れている」という意味から転じて「思いもよらない」という意味になりました。

まとめ

  • 「とんでもございません」は現代では許容される
  • 最も正式なのは「とんでもないことでございます」
  • 迷ったら「恐れ入ります」「恐縮です」を使う
  • ビジネスシーンでは状況に応じた謙遜表現を選ぶ
  • 「とんでもない」は一つの形容詞

正しい日本語を使うことで、ビジネスシーンでの信頼性が高まります。状況に応じた適切な謙遜表現を使いましょう。

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