「おざなりな対応」と「なおざりな対応」、どちらも「いい加減」という意味に聞こえますが、実は微妙に意味が異なります。この2つの言葉を正しく使い分けられれば、より正確に状況を表現できます。ビジネスシーンでも使える正しい使い分けを身につけましょう。
「おざなり」と「なおざり」の違い
「おざなり」の意味
「おざなり」は、いい加減だが、一応は形だけはやるという意味です。
- 漢字では「御座なり」
- 形式的には対応する
- 中身が伴わない
- 一応はやるが適当
例:「おざなりな返事」= 形だけの返事はするが、中身がない
「なおざり」の意味
「なおざり」は、いい加減で、放置してしまうという意味です。
- 漢字では「等閑」
- 何もしない、放置する
- 対応すらしない
- 見過ごす、無視する
例:「なおざりにする」= 何もせずに放置する
よくある間違い例と正しい使い方
「おざなり」の正しい使い方
- ○ 「おざなりな対応で済ませた」(形だけの対応)
- ○ 「おざなりな返事をした」(適当に返事した)
- ○ 「おざなりな挨拶」(形式的な挨拶)
「なおざり」の正しい使い方
- ○ 「問題をなおざりにする」(放置する)
- ○ 「安全対策がなおざりになっている」(対策していない)
- ○ 「メンテナンスをなおざりにした」(何もしなかった)
使い分けのポイント
形だけでもやっている場合
- 「おざなり」を使う
- 「おざなりな報告書を提出した」(一応は提出したが中身が薄い)
何もしていない、放置している場合
- 「なおざり」を使う
- 「報告書の作成をなおざりにした」(提出すらしていない)
覚え方・使い分けのコツ
「おざなり」= 形だけはやる、「なおざり」= 何もしないと覚えましょう。
判断基準
| 状況 | 適切な表現 | 理由 |
|---|---|---|
| 形式的に対応した | おざなり | 一応はやっている |
| 完全に放置した | なおざり | 何もしていない |
| 適当に返事した | おざなり | 返事はしている |
| 無視した | なおざり | 対応していない |
ビジネスシーンでの使用例
「おざなり」を使う場面
形式的な会議に終始し、
おざなりな議論で終わってしまった。
(会議はしたが、中身がなかった)
「なおざり」を使う場面
顧客対応がなおざりになっており、
クレームが増加している。
(顧客対応をしていない)
よくある質問(FAQ)
Q. どちらも「いい加減」という意味では同じ?
A. 「いい加減」という点では共通していますが、「おざなり」は形だけはやる、「なおざり」は何もしない、という違いがあります。
Q. ビジネスシーンではどちらを使うことが多い?
A. 状況によりますが、「なおざり」の方が深刻な状況を表すため、問題点を指摘する場合に使われることが多いです。
Q. 「おざなり」と「なおざり」を混同している人が多い?
A. はい、非常に混同されやすい言葉です。多くの人がどちらも「いい加減」という意味で同じように使っています。
Q. 英語では何と言う?
A.
- おざなり: perfunctory(形式的な)、halfhearted(中途半端な)
- なおざり: neglect(放置)、ignore(無視する)
Q. 漢字で書くべき?
A. 現代ではひらがな表記が一般的です。「御座なり」「等閑」と漢字で書くと読みにくいため、ひらがなで書く方が適切です。
まとめ
- 「おざなり」は形だけはやる、中身が伴わない
- 「なおざり」は何もしない、放置する
- 「おざなり」の方が程度は軽い
- 「なおざり」は深刻な問題を表す
- ひらがな表記が一般的
正しい言葉の使い分けができることで、状況をより正確に表現できます。「おざなり」と「なおざり」を使い分けましょう。
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