「あの人を敬遠している」と「あの人を毛嫌いしている」、どちらも「避けている」という意味に聞こえますが、実は理由とニュアンスが異なります。ビジネスシーンで適切に使い分けられるよう、正しい使い方を身につけましょう。
「敬遠」と「毛嫌い」の違い
「敬遠」の意味
「敬遠(けいえん)」は、うやまいながら遠ざける、面倒なので避けるという意味です。
- 敬意を持ちながら距離を置く
- 面倒だから関わらない
- 理性的な判断で避ける
- 必ずしも嫌いではない
例:「難しい問題を敬遠する」= 面倒だから避ける
「毛嫌い」の意味
「毛嫌い(けぎらい)」は、理由もなく嫌って避けるという意味です。
- 感情的に嫌う
- 理由なく拒絶する
- 本能的な嫌悪感
- 生理的に受け付けない
例:「虫を毛嫌いする」= 理屈抜きで嫌う
よくある間違い例と正しい使い方
「敬遠」の正しい使い方
- ○ 「難しい仕事を敬遠する」(面倒だから避ける)
- ○ 「あの件は敬遠したい」(関わりたくない)
- ○ 「複雑な手続きを敬遠する傾向がある」(理性的に避ける)
「毛嫌い」の正しい使い方
- ○ 「特に理由もなく毛嫌いする」(感情的に嫌う)
- ○ 「新しい技術を毛嫌いする」(理由なく拒絶)
- ○ 「食わず嫌いで毛嫌いしていた」(試さずに嫌う)
使い分けのポイント
理性的・合理的な判断で避ける場合
- 「敬遠」を使う
- 「面倒な手続きを敬遠する」
感情的・本能的に嫌う場合
- 「毛嫌い」を使う
- 「理由もなく毛嫌いする」
覚え方・使い分けのコツ
「敬遠」= 理性的に避ける、「毛嫌い」= 感情的に嫌うと覚えましょう。
判断基準
| 状況 | 適切な表現 | 理由 |
|---|---|---|
| 面倒だから避ける | 敬遠 | 理性的判断 |
| 生理的に受け付けない | 毛嫌い | 感情的反応 |
| 合理的に距離を置く | 敬遠 | 計算された行動 |
| 理由なく拒絶する | 毛嫌い | 本能的嫌悪 |
語源を理解する
敬遠
- 敬= 敬意を持つ
- 遠= 遠ざける
- うやまいながら距離を置く
毛嫌い
- 毛= 動物の毛が逆立つ
- 嫌い= 嫌う
- 本能的に拒絶する様子
ビジネスシーンでの使用例
「敬遠」を使う場面
複雑な案件は時間がかかるため、
多くの部署が敬遠する傾向にあります。
(合理的な理由で避けている)
「毛嫌い」を使う場面
新しいシステムを理由もなく毛嫌いせず、
まずは試してみることが大切です。
(感情的な拒絶を戒める)
よくある質問(FAQ)
Q. 「敬遠」は失礼な表現?
A. 「敬遠」自体は中立的な表現ですが、人に対して使う場合は注意が必要です。「あの人を敬遠している」と言うと、相手を避けていることが伝わってしまいます。
Q. 「毛嫌い」はネガティブすぎる?
A. はい、「毛嫌い」は強いネガティブ表現です。ビジネスシーンでは「苦手意識がある」「慣れていない」など、柔らかい表現を使う方が無難です。
Q. 野球の「敬遠」との関係は?
A. 野球用語の「敬遠(故意四球)」は、強打者を避けて歩かせる戦術です。「うやまいながら遠ざける」という本来の意味と通じています。
Q. ビジネスメールではどちらを使うべき?
A. どちらも直接的すぎる表現なので、ビジネスメールでは「避ける」「距離を置く」「慎重になる」など、より柔らかい表現を使いましょう。
Q. 英語では何と言う?
A.
- 敬遠: avoid(避ける)、keep one's distance(距離を置く)
- 毛嫌い: instinctive dislike(本能的嫌悪)、prejudice(偏見)
まとめ
- 「敬遠」は理性的・合理的に避けること
- 「毛嫌い」は感情的・本能的に嫌うこと
- 「敬遠」は必ずしも嫌いではない
- 「毛嫌い」は理由のない嫌悪感
- ビジネスシーンでは柔らかい表現を使う方が無難
正しい言葉の使い分けができることで、微妙なニュアンスを正確に伝えられます。「敬遠」と「毛嫌い」を使い分けましょう。
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