間違えやすい日本語辞典

「なし崩し」の意味を誤解していませんか?本来の意味と正しい使い方

「計画がなし崩しになった」という表現、「なかったことになる」という意味だと思っていませんか?実は「なし崩し」は「少しずつ進める」という意味で、「うやむやにする」ではありません。誤用が非常に多い表現なので、正しい意味を理解しましょう。

「なし崩し」の本来の意味

「なし崩し」とは、借金を少しずつ返済していくこと、物事を少しずつ進めていくことを意味します。

  • 少しずつ進める
  • 徐々に実行する
  • 段階的に進行する
  • ポジティブまたは中立的な意味

誤用「うやむやにする」

多くの人が「なし崩し」を「うやむやにする」「なかったことにする」という意味で使っています。

誤用例:

  • × 「計画がなし崩しになった」(なかったことになる)
  • × 「なし崩し的に終わった」(うやむやになった)

これらは本来の意味とは全く異なります

よくある間違い例と正しい使い方

誤った使い方(うやむやの意味)

  • × 「問題がなし崩しになった」(うやむやになった)
  • × 「なし崩し的に解散した」(なかったことになった)

正しい使い方(少しずつ進める)

  • ○ 「借金をなし崩しに返済する」(少しずつ返す)
  • ○ 「なし崩し的に改革を進める」(徐々に実行する)
  • ○ 「ルールがなし崩し的に変更された」(段階的に変わった)

「うやむやにする」を表現したい場合

  • ○ 「問題がうやむやになった
  • ○ 「計画が立ち消えになった
  • ○ 「なかったことにされた

覚え方・使い分けのコツ

「なし崩し」= 「済し崩し」= 「少しずつ返済する」と覚えましょう。

語源を理解する

「なし崩し」は、「済し(なし)崩し」から来ています。

  • 済し(なし)= 返済する
  • 崩し= 崩す、少しずつにする
  • なし崩し= 少しずつ返済する

もともとは借金を少しずつ返していく様子を表す言葉でした。

正しい意味の確認

  • なし崩し= 少しずつ進める(正しい)
  • うやむや= 曖昧にする、不明瞭にする
  • 完全に逆の意味ではないが、全く異なる概念

ビジネスシーンでの使用

正しい使用例

規制をなし崩し的に緩和していく。
(段階的に緩和していく)

誤用を避ける

問題がうやむやになってしまった。
(「なし崩し」は使わない)

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ誤用が広まったのか?

A. 「なし(無し)」という言葉から「なかったことにする」というイメージを連想し、誤解が広まったと考えられます。

Q. 「なし崩し」の誤用率は?

A. 文化庁の調査では、約6割の人が誤った意味で理解しているという結果が出ています。非常に誤用が多い表現です。

Q. ビジネスシーンで「なし崩し」を使って良い?

A. 正しい意味で使う分には問題ありませんが、誤解を避けるため「段階的に」「少しずつ」など別の表現を使う方が無難です。

Q. 「なし崩し的」は正しい?

A. 「なし崩し的に進める」(少しずつ進める)という意味であれば正しいですが、誤解されやすいため注意が必要です。

Q. 英語では何と言う?

A. 「gradually」「step by step」「incrementally」などが該当します。

まとめ

  • 「なし崩し」は「少しずつ進める」という意味
  • 「うやむやにする」とは全く異なる
  • 借金を少しずつ返すのが語源
  • 誤用が非常に多い表現
  • 誤解を避けるため別の表現を使うのも一つの方法

正しい日本語を使うことで、誤解を避けられます。「なし崩し」の本来の意味を理解しておきましょう。

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